眉月(三日月)弓張月
月立ちて ただ三日月の 眉根掻き 日長く恋ひし 君に逢へるかも
つきたちて ただみかづきの まよねかき けながくこひし きみにあへるかも
月が変わったわ
この三日月のように
細い眉を掻きながら、
長い間恋しく思っていたあなたに、
こうしてとうとう会えたわ
大伴坂上郎女の和歌です。
眉がかゆいのは、相手に逢える前兆という
当時の恋のジンクスを含んだ和歌です。
また、先進の中国の流行をまねて、
女性は細く眉を描くのが当時の最先端でした。
三日月は月でもありますが、
美女の細い引き眉のたとえでもありました。
それに対する大伴家持(おおとものやかもち)の返歌は
振り放けて 三日月見れば 一目見し 人の眉引き 思ほゆるかも
ふりさけて みかづきみれば ひとめみし ひとのまよびき おもほゆるかも
遠く空を仰いで三日月を見ると
ほんの一目見た、あなたの引き眉が
思い出されます
16才でこの和歌を詠んだというのは
ちょっとマセてますかね。
半月:弓張月(ゆみはりづき)、白真弓(しらまゆみ)
さて万葉集にはいろいろな月の呼び名が出てきます。
七日目の月、半月のことは弓張月(ゆみはりづき)
ともいいますし、白真弓(しらまゆみ)ともいいます。
天の原 振りさけ見れば、白真弓 張りて懸けたり、夜道はよけ
あまのはら ふりさけみれば しらまゆみ はりてかけたり よみちはよけむ
大空を見上げてみると、
白い真弓を張って空にかけてあるような
月が照っているから
今宵の道は良いでしょう。
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