イギリスの三人の物売りの歌 Three Merry Men We Be 

 
 シェイクスピアは、人々の間でよく知られていた音楽やその題名を劇の中にとりいれることで、観客を巻き込んだり、当時の人々と言葉とその意味する物の関係を問いのなおしているのです。チャペルの著書、popular music of Olden Time「古い時代の流行曲」に三人の愉快な男Three-men songという、当時の民衆が日常的な歌いながら、行商人がバラッドを情報源として売り歩くことが描かれています。

 シェイクスピアの冬物語4幕2場に登場しますが、当時は、かなり多くのバラッドが人気の旋律にのって、情報源として歌われたようです。   


前回からお話している『十二夜』の中では、、当時の流行歌、キャッチやバラードなどが劇の中で演奏されています。歌の詩は原曲のままあるいはシェイクスピアの台詞での替え歌で奏されるてのですが、、当時の流行歌などがわかります



Daniel Maclise Malvolio and the Countess  

(第1幕3場)サートビーがサ―アンドルーに向かって言います。
 Why dost thou not go to church in a galliard and come home in a coranto? 
 My very walk should be a jig; I would not so much as make water but in a sink-a-pace. 
 「教会に行く時だって、行きはガイヤルドで跳ねてゆき、帰りはコラントでテンポ・アップ、散歩の歩調はジグ、小便する時なら、シッシシシーの5拍子でやればいいじゃないか」
 
当時宮廷ではやっていたパヴァンとガリアルド またコラント、ジグ などのダンスのことを言っています
 
また街では行商人が情報源を歌にのせて、歌います。
Catch (キャッチ)という合唱の初期形態です。
(第1幕3場)Hold the peace, And I prithee, hold the peace, thou knave 
黙ってろ、お願いだから、黙ってろ、このならず者め
キャッチCatch:複数の歌い手が、時間を一定にずらして同じ旋律を歌うことでハーモニーを生み、言葉とリズムが歌の中に編み込まれて、合唱が生まれるという輪唱、キャッチは、 素人でも合唱を楽しめることから、イギリスでは古くから庶民と間で親しまれてきた音楽でした。

最終部『When (that )I was and a little tiny boy』俺がちいさなガキの頃

When that I was and a little tiny boy,
With hey, ho, the wind and the rain,
A foolish thing was but a toy,
For the rain it raineth every day
 おいらがガキで いた頃は、
 来る日も来る日も 雨と風 ヘイホウ
 悪さをしても 笑ってすんだ
 今日も明日も 雨と風
芝居の最後に歌われる歌に表現される雨と風によって、シェイクスピアは、エリザベス王朝以後の世界への不安を暗示しているともいえます。

シェイクスピア作品と関連性のある音楽の中で
グリーンスリーブズ」について最後に少しお話しますと、この曲は1580年に
『北部地方で歌われているレデイ・グリーン・スリーブスの新しいうた』として
出版されました。
「ウインザーの陽気な女房たち」 でも言及されているエリザベス朝のポップスバラードともいえます。
「青袖節(グリーンスリーヴス)」の緑の袖とは、
中世の衣装につけられてい取り外し可能な袖で、中世の恋人たちは、身につけているものを預けるという形代(かたしろ)交換しあった。当時、この歌が一般によく知られていたことを物語っています。





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